実はコーヒーで日本人にはなじみ深いタンザニア。バランス感があり飲みやすいタンザニアコーヒーは、世界中のコーヒー愛好家を魅了し続けています。
この記事では、そんなタンザニア産のコーヒーについて徹底解説していきます。

皆さん聞いたことがあるキリマンジャロコーヒーは、タンザニア産です
この記事のポイント
・柑橘系の酸味や苦み、控えめなコクとマイルドさが特徴
・同じアフリカのエチオピア、ケニアといった国よりも、比較的酸味は控えめでバランスの取れた味わい
・キリマンジャロの他、エーデルワイスやンゴロンゴロという銘柄も有名
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タンザニア産コーヒーの概要と歴史


主要な栽培種、標高、収穫時期
- 栽培種:ブルボン品種、アルーシャ品種、ブルーマウンテン品種、ケント品種、N39
- 標高:1,500~2,500m
- 収穫時期:6~12月
タンザニア(タンザニア連合共和国)は、東アフリカに位置する国。人口約6,700万人が暮らしています。
栽培されているコーヒーの多くはアラビカ種であり、タンザニア全体の約70%を占めています。残りはカネフォラ種が栽培されています。
タンザニアといえば、北東部にあるキリマンジャロ山。標高約5,895mでアフリカ大陸では最高峰の山です。
銘柄の名前が有名で、キリマンジャロコーヒーをタンザニア産と知らずに飲んでいる方も多いかと思います。そして、キリマンジャロコーヒーといえば、ジャマイカのブルーマウンテン、アメリカのハワイコナと並ぶ、三大コーヒーの一つであることも有名です。
コーヒーがタンザニアに伝わった経緯と現在
19世紀末、ドイツによってコーヒーの苗木が持ち込まれました。
ブルボン種が最初で、キリマンジャロ山麓の地域から栽培がスタートしたされています。
その後、20世紀半ばまでドイツやイギリスによる植民地統治が行われ、大規模での栽培、輸出体系の確立や品質管理体制の強化など、コーヒーを栽培する環境が整えられていきました。
国家として独立後も、コーヒーの生産を継続。
近年は、農協の加工場(CPU)へコーヒーチェリーを持ち込む方式も増えており、安定して高品質なコーヒーを生産できるようになってきています。
タンザニア産コーヒーの特徴


風味について
タンザニア産コーヒーの*一般的な特徴は以下の通りです。
- ビターチョコやグレープフルーツのような苦味、ジューシーな酸味のバランス
- 強すぎないコク
- マイルドな質感
中深煎り~深煎りの焙煎度に適しており、シングルオリジンからブレンドまで広く使われています。
*あくまで一般的な特徴です。生産地域や農園によってその国の一般的な特徴とは大きく異なる風味を持ったものも存在します。
等級(グレード)の見方
タンザニアのコーヒー輸出等級は、主に「スクリーンサイズ(コーヒー豆の大きさ)」によって決定されており、基本的にはサイズが大きいほど等級が高くなります。
下記表に基づいてグレード分けされています。
名称 | スクリーンサイズ |
---|---|
AA | S18 |
A | S17 |
B | S16 |
AB | S15~17 |
C | S14~15 |
E | AAより大きいが価値は下 |
PB(ピーベリー、丸豆) | 小さいものの、B以上の価値 |
この中でも*スペシャルティコーヒーとして流通するのは、AAが多いです。
近年はAAを超える、AA++のようなランクも出てきています。
ちなみに、タンザニア産のコーヒーをキリマンジャロという名前での販売が多く見かけますが、スペシャルティコーヒーの場合は、キリマンジャロよりも農園の名前や、ブランド名を表記している場合が多いです。
その他、以下のような基準が品質管理の基準にもなっています。
- 欠点豆の数(虫食いや品質の悪い豆)
- 異臭の有無
- 虫や異物の混入
- 色の均一性
- 水分含有率
- クリーンカップ(雑味がなくクリアであること)
代表的な品種について
タンザニアで栽培される主要なコーヒーの品種は以下のようなものが挙げられます。
- ブルボン品種:甘みと芳醇な香りが特徴。特にタンザニアのブルボンは、マイルドで酸味やコクも強すぎず飲みやすいです。しかし、病害虫耐性が低く、収穫率はあまり良くないです。
- アルーシャ品種:北部のアルーシャという地域で広く栽培されている品種。ブルボン系の品種と考えられています。
- ケント品種:インドで生まれた突然変異種。さび病に強いため現在も一部地域で栽培。風味は苦みやコクがあるものの、タンザニアらしい個性が出づらいという特徴も。
- ブルーマウンテン品種(ティピカ品種):ジャマイカから東アフリカに導入された品種ですが、病害虫への弱さや収穫率の低さにより現在はそれほど栽培されていません。
栽培・精製方法の特徴
タンザニアでは、主に以下の精製方法が採用されています。
- ウォッシュト:タンザニアで最も採用されている精製方法。これによりタンザニア独特の風味に繋がっています。
- ナチュラル:タンザニアではあまり見られませんが、ごく一部の地域で採用されています。
- ハニー:こちらもタンザニアでは少ないです。
精製方法って何?という方はこちらの記事もオススメ
→コーヒー精製方法の完全ガイド|味の違いは?



精製方法はコーヒーの味を決める非常に重要な要素です


主要な生産地域


北部 | カラツ、アルーシャ、モシ
北部はキリマンジャロ山がある地域。火山灰性土壌で、比較的高地でコーヒーが育てられています。
この地域のコーヒーには以下のような特徴があります。
- ビターチョコやグレープフルーツのような苦み
- ジューシーな酸味と甘み
- ほどよいコクとマイルドな質感
南部、西部 | ムベヤ、ムビンガ、キゴマ
実は北部よりも生産量が多く、タンザニア全体の約75%を占めています。もともとは品質が高いとはいいづらい地域でしたが、スペシャルティコーヒーの人気もあり、近年では高品質なコーヒーを生産しています。
この地域のコーヒーには以下のような特徴があります。
- 甘みを感じる芳醇な香り
- ベリーなどフルーティーな酸味と香り
- なめらかな質感
おすすめの楽しみ方


最適な抽出温度と時間
基本の抽出レシピを以下にまとめました。
- 抽出温度:88-92℃
- 抽出時間:ドリップの場合2-3分が目安。甘みとコクを重視する場合は、やや低めの温度で3分程度かけじっくり抽出がおすすめ。逆にさっぱりとしたコーヒーが飲みたい時は、やや高めの温度で比較的早めの2分程度で抽出を終えることをおすすめします。
また、美味しいコーヒーの淹れ方の完全版はこちらの記事でまとめています。
知っていると、簡単に味の違いも知りやすくなる入れ方も解説しています。
→美味しいコーヒーの入れ方完全ガイド|おすすめは?


ブレンドのベース豆としての活用法
タンザニアのコーヒーは、ブレンドにも重宝されています。そのため、他のシングルオリジンの豆と混ぜて楽しむこともおすすめです。
初心者の方は、タンザニアの豆40~60%に対して、その他の豆を1~2種類混ぜてブレンドしてみてください。タンザニア単体で飲むのとはまた違った楽しみがみつかると思います。
おすすめの保存方法
- 密閉容器での保管
- 直射日光を避ける
- 冷暗所での保存
- 適度な温度と湿度(25℃以下、60%以下)
購入時のポイント


豆の選び方のコツ
- 生産地域の確認:目的の味わいに合った地域を選択しましょう。
- 収穫年の確認:新しい豆ほど風味が良いです。
- 焙煎度合い:中深煎り~深煎りが一般的に相性が良いです。
- 等級:A~AAであれば安定した品質が期待できます。
迷ったときのおすすめ
タンザニアのコーヒーに興味が湧いたけどどれを買ったらいいかわからない方も多いと思います。
迷った際は、まずは下記から試してみてください。初心者の方にもオススメです。
豆のまま


粉


インスタント


まとめ


日本人にもなじみが深いタンザニア産コーヒー。その確かな品質と魅力的な味わいは、世界中のコーヒー愛好家に認められ続けています。
ぜひ、あなたも自分好みのタンザニアコーヒーを見つけてみてはいかがでしょうか。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
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このブログを書くための参考文献としても活用させていただいています。


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