世界コーヒー生産量の約35%を占めるコーヒー大国、ブラジル。その広大な国土で育まれるコーヒーは、世界中の人々を魅了し続けており、日本人も例外ではありません。その証拠に、日本の生豆総輸入量においても、約35%を占めています。また、ブラジル産コーヒーは、単独でもブレンドのベースとしても重宝されている欠かせない存在。
この記事では、そんなブラジル産のコーヒーについて徹底解説していきます。

コーヒーと言えばこの味、というくらい代表的な国なので、私もよくブラジルコーヒーを楽しんでいます!
この記事のポイント
・サンパウロ州やミナスジェライス州での生産が有名
・ブラジルコーヒーは控えめな酸味、豊かなコク、ナッツやチョコレートの香りが特徴
・一部地域ではトロピカルなフレーバーを持ったコーヒーも生産
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ブラジルコーヒーの概要と歴史


主要な栽培種、標高、収穫時期
- 栽培種:アラビカ種70%、コニロン(カネフォラ種)30%
- 標高:450~1100m
- 収穫時期:5~8月
ブラジルの高原は広域に広がっており、地域による標高、気温、雨量といった差が出づらい特徴があります。そのためか、品種開発が非常に多く見られる国です。日本では、ブルボン、ムンドノーボ、カトゥアイといった品種が多く見られます。
コーヒーがブラジルに伝わった経緯と現在
ブラジルのコーヒーの歴史は、18世紀にまで遡ります。もともと、ブラジルを含むアメリカ大陸にはコーヒーの木は自生していませんでした。フランス領ギアナから密かに持ち込まれたコーヒー種子や苗木が、コーヒー産業の始まりとされています。19世紀には栽培が本格化、一大産業となりますが、当初は奴隷による労働が主でした。しかし、奴隷制度の廃止とともに、移民の労働力による生産へと移り変わっていきます。
20世紀初頭には、世界コーヒー生産量の75%前後をブラジルが占めるまでに成長。現在では35%程度まで低下していますが、依然として世界最大のコーヒー生産国としての地位を確立しています。
ブラジル産コーヒーの特徴


風味について
ブラジルコーヒーの*一般的な特徴は以下の通りです。
- 控えめな酸味
- 豊かなコク
- ナッツやチョコレートのような風味
これらの特徴は、浅煎りから深煎りまで様々な焙煎度合いに対応できるため、ブレンドにも広く使われています。
*あくまで一般的な特徴です。ブラジルコーヒーに限らず、生産地域や農園によってその国の一般的な特徴とは大きく異なる風味を持ったものも存在します。
等級(グレード)の見方
コーヒーは農作物のためランクが存在し、そのランクのことを等級(グレード)と呼びます。しかし、等級のつけ方はその国々よって様々です。
ブラジルコーヒーの輸出等級は、主に「300g中の欠点豆(コーヒー豆の生育、収穫、加工、保存などの過程で、形や色に異常や欠点が生じた豆)の数」や「スクリーンサイズ(コーヒー豆の大きさ)」によって決定されます。
- 欠点豆の数は少ないほど良いです。No2~No8まであり、No2が最も欠点豆の数が少ないです。*欠点豆がないことはほぼありえないという考えのもと、No1は存在しません。
- スクリーンサイズは大きいほど良いです。スクリーン13~20まであり、20が最も大きいことを指しています。スクリーン16がブラジルの標準サイズで、S16、#16、SC16といった表記の仕方があります。
代表的な品種について
ブラジルで栽培される主要なコーヒーの品種は以下のようなものが挙げられます。
- ブルボン:伝統的な品種で、甘みと酸味のバランスが特徴
- ムンドノーボ:ティピカ種とブルボン種の自然交配種。病害に強く、生産性の高い品種で、ブラジルで広く生産されています。酸味は控えめでバランスの取れた味わい。
- カトゥアイ:ブルボン種とムンドノーボ種の交配種。親品種の良いところを引き継ぎ、甘みやコクのある味わい。
- マラゴジッペ:ティピカ種の突然変異でブラジルで生まれた品種。スクリーンがとても大きく、フルーティーさが特徴、
栽培・精製方法の特徴
ブラジルでは、主に以下の精製方法が採用されています。
- ナチュラル:コーヒー果実の果肉をつけたまま乾燥、脱穀する伝統的な方法。ワインやプルーンのような香り、甘みが代表的な風味として挙げられます。
- パルプドナチュラル:果肉を除去し*ミューシレージ(*果肉と種子の間にあるぬめり)がついたまま乾燥させる方法。ナチュラルに近く、風味で違いを見分けるのは困難です。
- セミウォッシュト:果肉を除去しミューシレージを除去してから天日やドライヤーで乾燥する方法。ナチュラルやパルプドナチュラルと比較すると、ほんのわずかに酸味が加わりクリーンな印象になります。
\コーヒーの味を決める精製方法について知りたい方はこちらをどうぞ/


主要な生産地域


サンパウロ州
サントス港を擁するサンパウロ州は、ブラジルコーヒーの代表的な生産地です。特に「サントスNo.2」と呼ばれる等級のコーヒーが有名で聞き馴染みがある方もいるかもしれません。
一般的な味わいの特徴は以下の通りです。
- マイルドな酸味
- なめらかな口当たり
- チョコレートのような風味を持ち、多くのブレンドのベースとして使用される
ミナスジェライス州
現在のブラジルで最大のコーヒー生産地となっているのが、ミナスジェライス州です。ブラジル全体のコーヒー収穫量のうち、およそ*45%前後を占めており、比較的高い標高で栽培されているため高品質なコーヒー豆も多く取れます。セラード高原で栽培されるコーヒーが有名で、一定の品質をクリアしたものはセラードコーヒーとも呼ばれます。
一般的な味わいの特徴は以下の通りです。
- 比較的甘みがありバランスの取れた味わい
- しっかりとしたボディ
- ナッツのような香りが特徴的で、シングルでも十分に楽しめるものが多い
その他の主要生産地域
- エスピリト・サント州:ブラジル全体で*28%前後の生産を誇ります。
- バイーア州:ブラジル全体で*14%前後の生産を誇り、トロピカルなフレーバーを持ったコーヒーが多いです。
- パラナ州:ブラジルで最も早くコーヒー栽培が始まった地域。気候の問題等で現在の生産量は多くありません。
おすすめの楽しみ方


最適な抽出温度と時間
ブラジルのコーヒーに限らず基本の抽出レシピを以下にまとめました。
- 抽出温度:88-92℃
- 抽出時間:ドリップの場合2-3分が目安。甘みとコクを重視する場合は、やや低めの温度で3分程度かけじっくり抽出がおすすめ。逆にさっぱりとしたコーヒーが飲みたい時は、やや高めの温度で比較的早めの2分程度で抽出を終えることをおすすめします。


ブレンドのベース豆としての活用法
ブラジルのコーヒーは、その安定した品質、価格、他の豆との親和性が高い味わいといった理由から、ブレンドのベース豆として重宝されています。そのため、他のシングルオリジンの豆と混ぜて楽しむこともおすすめです。初心者の方は、ブラジルの豆40~60%に対して、その他の豆を1~2種類混ぜてブレンドしてみてください。ブラジル単体で飲むのとはまた違った楽しみがみつかると思います。
おすすめの保存方法
- 密閉容器での保管
- 直射日光を避ける
- 冷暗所での保存(冷凍庫も可)
- 適度な温度と湿度(25℃未満、60%以下)
購入時のポイント


豆の選び方のコツ
- 生産地域の確認:目的の味わいに合った地域を選択しましょう。
- 収穫年の確認:新しい豆ほど風味が良いです。
- 焙煎度合い:中煎り〜深煎りが一般的に相性が良いです。
迷ったときのおすすめ
ブラジルのコーヒーに興味が湧いたけど、どれを買ったらいいかわからない方も多いと思います。
迷った際には、まずは下記から試してみてください。初心者の方にもオススメです。
豆のまま


粉


インスタント


まとめ


世界最大のコーヒー生産国としての地位を確立しているブラジル。その広大な国土で育まれるコーヒーは、世界中のコーヒー好きを魅了し続けており、コーヒーを語る上で欠かせない存在となっています。
ぜひ、あなたも自分好みのブラジルコーヒーを見つけてみてはいかがでしょうか。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
\コーヒーの最高のオトモ/
コーヒーについて詳しくなりたい方へおすすめの本



私がこれまで読んできて実際にとても勉強になった本たち。
参考文献としても使用させていただいております。


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