世界第3位のコーヒー生産国であり、高品質なコーヒー生産で知られるコロンビア。その山岳地帯で育まれるコーヒーは、柑橘系の爽やかな酸味とバランスの取れた味わいで、世界中のコーヒー愛好家を魅了し続けています。
この記事では、そんなコロンビア産のコーヒーについて徹底解説していきます。

バランスのいい味わいや新しい取り組みのコーヒーも多く、私もこれまでに100種類以上はコロンビア産コーヒーを飲んできました!
この記事のポイント
・中南米に位置するコロンビアでは、恵まれた高地栽培による良質なコーヒーを生産
・生産地域は北部、中部、南部の3地方に大別
・柑橘系の酸味やマイルドな風味が一般的な特徴
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コロンビア産コーヒーの概要と歴史


主要な栽培種、標高、収穫時期
- 栽培種:アラビカ種100%
- 標高:1,200~2,000m
- 収穫時期:北部は11~2月、南部は5~8月。クロップを大きく分けてメインとサブで年2回の収穫
コロンビアは標高差のあるアンデス山脈が縦に長く連なっており、地域によって気候条件が大きく異なります。土壌は火山灰土壌です。
2010年以前は政情の不安定さもあり風味にブレ等がありましたが、2010年以降は徐々に改善。FNC(コロンビア生産者連合会)の農家支援努力、輸出会社の産地開拓による品質向上もみられ、南部産のコーヒーの流通も始まっていきました。
標高に恵まれた高地栽培による良質な豆の生産が特徴です。
コーヒーがコロンビアに伝わった経緯と現在
コロンビアのコーヒーの歴史は、1730年代にキリスト教宣教師によってもたらされたことから始まります。当初は修道院に植えられていただけでしたが、19世紀後半から本格的な輸出産業として発展しました。
1927年には品質管理と生産者支援を目的としたFNC(コロンビア生産者連合会)が設立され、これが現在のコロンビアコーヒーの高品質を支える重要な基盤となっています。
主要な生産地域


北部|マグダレナ、サンタンタンデール
標高が低めで気温は高めの地域。日照時間が長く土地の高低差を生かした栽培も行っています。
この地域のコーヒーには以下のような特徴が挙げられます。
- 豊かなボディ、コク
- 優しい酸味
- ナッツやチョコレートのような風味
中部|アンティオキア、カルダス、リサラルダ、トリマ、キンディオ
気候に恵まれており、1年を通して安定した生産が可能な地域。
この地域のコーヒーには以下のような特徴が挙げられます。
- 程よいボディ、コク
- バランスのいい酸味
- フルーティー、ハーブのような風味
南部|ウィラ、カウカ、ナリーニョ
より赤道に近く標高が高い、気温は低めの地域。産地開拓によりとても優れたコーヒーを生産するようになりました。
この地域のコーヒーには以下のような特徴が挙げられます。
- しっかりしたコクの濃縮感
- オレンジやレモンといった柑橘系の酸味
- 甘さを感じる香り
その他の生産地域
- セサール、ノルテ・デ・サンタンデール:どちらも北部で、ティピカ品種がわずかに栽培。柑橘系の酸味が特徴。
コロンビア産コーヒーの特徴


風味について
コロンビア産コーヒーの*一般的な特徴は以下の通りです。
- 柑橘系の爽やかな酸味
- ほどよいコク
- バランスがとれておりマイルド
これらの特徴は、浅煎りから深煎りまで様々な焙煎度合いに対応できるため、シングルオリジンからブレンドまで広く使われています。
*あくまで一般的な特徴です。生産地域や農園によってその国の一般的な特徴とは大きく異なる風味を持ったものも存在します。
等級(グレード)の見方
コーヒーは農作物のためランクが存在し、そのランクのことを等級(グレード)と呼びます。しかし、等級のつけ方はその国々よって異なることも。
コロンビアのコーヒー輸出等級は、主に「スクリーンサイズ(コーヒー豆の大きさ)」によって決定されており、スクリーンが大きいほど等級が高くなります(S16、#16、SC16といった表記の仕方があります)。
下記*表に基づいて7段階にグレード分けされています。
名称 | スクリーンサイズ | 許容範囲 |
---|---|---|
Excelso Premium エクセルソ プレミアム | 18 | スクリーン14-18 最大5% |
Excelso Supremo エクセルソ スプレモ | 17 | スクリーン14-17 最大5% |
Excelso Extra エクセルソ エクストラ | 16 | スクリーン14-16 最大5% |
Excelso Europa エクセルソ ヨーロッパ | 15 | スクリーン12-15 最大2.5%/ 5% / 10% の3カテゴリー |
Excelso UGQ エクセルソ UGQ | 15全体の50%以上 残りは14 | スクリーン12-14 最大5% |
Excelso Maragogipe エクセルソ マラゴジッペ | 17 | スクリーン14-17 最大5% |
Excelso Caracol エクセルソ カラコル | 12 | 平豆最大10% |
*引用:FNC コロンビアコーヒー生産者連合会(https://cafedecolombia.jp/colombia/specialty/grade/)
輸出等級はスクリーンサイズの大きいスプレモ(S17以上、S16~14の混入が最大5%まで)と、エクセルソ(S16、S15~14の混入が最大5%まで)に区分。S14以上が輸出となります。
この中でも*スペシャルティコーヒーとして流通するのは、S16以上で生産県、農園名、品種等の生産履歴がわかるものになります。
その他、以下のような基準が等級の判定基準にもなっています。
- 欠点豆混入率
- 異臭の有無
- 虫の混入
- 色の均一性
- 水分含有率
- クリーンカップ
代表的な品種について
コロンビアで栽培される主要なコーヒーの品種は以下のようなものが挙げられます。
- カスティージョ品種:コロンビアで開発された品種。病害に強く気候への順応性が高い。
- コロンビア品種:改良により病害に強くなった品種。甘みと酸味のバランスが特徴。
- カトゥーラ品種:コンパクトな樹の形で収穫量が多く、明るい酸味が特徴。
- ティピカ品種:最も古い品種の一つで、コロンビアでは伝統的な品種。爽やかな酸味や甘みが特徴。
1970年代まではティピカ品種が主流でしたが、徐々にカトゥーラ品種やコロンビア品種に植え替えられていきました。そのため現在は、栽培面積の70%ほどをカスティージョ品種やコロンビア品種が占めており、残りがカトゥーラ品種等が占めています。
栽培・精製方法の特徴
コロンビアでは、主に以下の精製方法が採用されています。
- ウォッシュト:コーヒーの果肉を除去後、ミューシレージ(果肉と種子のあいだにあるぬめり)を発酵させ、水洗してから乾燥する方法。ウェットミル(果肉除去から乾燥まで)とドライミル(脱穀から選別まで)の2工程があります。
\コーヒーの味を決める精製方法について知りたい方はこちらをどうぞ/


おすすめの楽しみ方


最適な抽出温度と時間
コロンビアのコーヒーに限らない基本の抽出レシピを以下にまとめました。
- 抽出温度:88-92℃
- 抽出時間:ドリップの場合2-3分が目安。甘みとコクを重視する場合は、やや低めの温度で3分程度かけじっくり抽出がおすすめ。逆にさっぱりとしたコーヒーが飲みたい時は、やや高めの温度で比較的早めの2分程度で抽出を終えることをおすすめします。
ブレンドのベース豆としての活用法
コロンビアのコーヒーは、その安定した品質、価格、他の豆との親和性が高い味わいといった理由から、ブレンドのベース豆として重宝されています。そのため、他のシングルオリジンの豆と混ぜて楽しむこともおすすめです。
初心者の方は、コロンビアの豆40~60%に対して、その他の豆を1~2種類混ぜてブレンドしてみてください。コロンビア単体で飲むのとはまた違った楽しみがみつかると思います。
おすすめの保存方法
- 密閉容器での保管
- 直射日光を避ける
- 冷暗所での保存(冷凍庫も可)
- 適度な温度と湿度(25℃未満、60%以下)
購入時のポイント


豆の選び方のコツ
- 生産地域の確認:目的の味わいに合った地域を選択しましょう。
- 収穫年の確認:新しい豆ほど風味が良いです。
- 焙煎度合い:浅煎り〜中深煎りが一般的に相性が良いです。
- 等級:スプレモやエクセルソであれば安定した品質が期待できます。
迷ったときのおすすめ
コロンビアのコーヒーに興味が湧いたけどどれを買ったらいいかわからない方も多いと思います。
迷った際は、まずは下記から試してみてください。初心者の方にもおすすめです。
豆のまま


粉
インスタント
まとめ


高い品質管理と高地栽培による優れた特性を持つコロンビア産コーヒー。その確かな品質と魅力的な味わいは、世界中のコーヒー愛好家に認められ続けています。
ぜひ、あなたも自分好みのコロンビアコーヒーを見つけてみてはいかがでしょうか。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
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このブログを書くための参考文献としても活用させていただいています。


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